大規模プロジェクトの運営段階
大規模再開発プロジェクトによる社会的効用を全て地価上昇に置き換えてみると
大規模再開発プロジェクトが生み出す社会的効用(街の魅力、集客力、収益性、利便性、快適性等の向上度合い、周辺地域への貢献度合い)を経済的な尺度、とくに地価の上昇分に置き換えて計測・算出してみました(ヘドニックアプローチ)。
対象プロジェクトを「実行した場合」と「実行しなかった場合」の地価を比較し、その差額を求めた結果、対象3プロジェクトの周辺地域(5km圏)の地価上昇効果は総額約2.3兆円、事業費の約1.5倍でした。
注) この計算方法は、同じ時点でプロジェクトの有無による地価の差異を計算する方法です。したがって、実際にプロジェクト周辺の地価がプロジェクトの完成前後でどう変化したか、という異なる時点での地価比較ではありません。仮に、プロジェクトの完成前後で周辺地価が「下落」した場合でも、上記の計算方法では、効果があった。すなわち「上昇分」があったと計算されるのが一般的です。この場合、当該プロジェクトがなければ地価はもっと下落していたと推測されることになります。
大規模再開発プロジェクトが生み出す社会的効用には、右の図にあるように様々なものがありますが、なかには定量把握が困難なものもあります。これらを併せて、地価の上昇分という一つの尺度で計測しようというのが、ヘドニックアプローチです。
大規模再開発プロジェクトによる社会的効用を全て地価上昇に置き換えてみると
把握の視点 | 定量把握がしやすい | 定量把握が困難 または評価が分かれる |
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社会・行政及び 産業界・事業者 |
・経済の活性化 ― 波及効果 ・土地の有効活用 ― 高度利用、集約化 ・インフラの整備水準向上 ― 整備率、充足率 ・木造密集市街地の解消、不燃化の促進 ― 木密面積、不燃化率 ・公共投資の有効活用 ・税収向上 ・公共財の有効活用(交通施設への需要分散、効率的活用 |
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地域・コミュニティ | ・公園・緑地面積の増加 ・既存公共財との不整合 ・防災・防犯性能の向上 |
・住民の多様化 ・地元商店街の活性化 ・街の清潔度、きれいさ向上 ・ステータス、ブランド |
住民個人 | ・都市的な魅力向上 ・生活利便性の向上 ・暮らしの快適さ ・自由時間の増大 ・昔の面影や静けさの喪失 ・ステータス、ブランド |